損保業界の「男女の賃金格差」の実態について

コラム

なぜ「男女の賃金格差」を取り上げるのか

 端的に言うと、キャリオープンの運営メンバの複数の知人から強いリクエストがあったためです。ただし、この記事は深い考察を行うものではなく、あくまでも実態を調査してお伝えする趣旨となります。

 なお、金融・保険業界は他業界と比較して最も男女の賃金格差が大きい業界です。全体の数値74.8%に対し、金融・保険業界は61.5%となっております。こういった事実を同業界で働く皆さまが認識し問題視することで、是正に繋がれば良いと考えております。

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出典:ニッセイ基礎研究所『「2024年女性版骨太」が金融業・保険業に迫る男女間賃金格差の是正』(2024/7/4)

男女の賃金格差の開示背景と算出方法

 女性活躍推進法の制度改正により、常時雇用する労働者が301人以上の事業主は、男女の賃金差異の把握及び公表が義務化されました(2022年7月8日施行)。これは、男女間での格差を可視化・是正し、女性が活躍できる社会をつくっていくことを目的としたものです。

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出典:厚生労働省リーフレット「女性活躍推進法に関する制度改正のお知らせ」(2022/12/28改定)

 この男女間での賃金格差の算出方法は以下です。

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 また、「総賃金」の定義は以下です。

▶「総賃金」とは、
一つの事業年度に支払った賃金の総額を言います。賃金台帳や源泉徴収簿等を基に計算してください。
賃金について、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が 、労働者に支払う全てのものをいいます。
ただし、退職手当は、年度を超える労務の対価という性格を有することから、また、通勤手当は、経費の実費弁償という性格を有することから、個々の事業主の判断により、それぞれ「賃金」から除外する取扱いとして差し支えありません。

出典:愛知労働局「男女の賃金の差異の公表について」

 上記の通り、総賃金には「退職手当」は含まれません。男女の賃金格差がある場合男性の方が退職金も多いケースが多いですが、これは公開する数値には反映されないということです。一方、「手当」は含まれますので、損保業界で全国転勤型にのみ支給されることの多い家族手当や住宅手当はしっかり反映されています。

東京海上日動の格差実態

 2023年度における東京海上日動の正規雇用労働者の男女の賃金格差は50.3%です。つまり女性社員は男性社員の平均給与の50.3%しか受け取っていないということです。

▼下画像の「東京海上日動」の数値を参照ください

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出典:東京海上日動「Human Capital Report 2024」

 なお、同レポートで公開している通り、男女により採用する「コース区分」や「勤続年数」の差異による影響が大きいと認識しており、2024年度より「コース区分」を廃止することを打ち出しています。こういった対策が早いのは流石リーディングカンパニーという印象です。

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三井住友海上の格差実態

 2023年度における三井住友海上の正規雇用労働者の男女の賃金格差は53.0%です。つまり女性社員は男性社員の平均給与の53.0%しか受け取っていないということです。

 ちなみに、あいおいニッセイ同和損保の正規雇用労働者の男女の賃金格差は58.6%です。

▼下画像の「MSI」の数値を参照ください

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出典:MS&AD「ESGデータブック2024」

損保ジャパンの格差実態

 2023年度における損保ジャパンの正規雇用労働者の男女の賃金格差は46.6%です。つまり女性社員は男性社員の平均給与の46.6%しか受け取っていないということです。

▼下画像の「損害保険ジャパン株式会社」の数値を参照ください

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出典:損保ジャパン「損保ジャパンの現状2024」

まとめ

 メガ損保3社の2023年度における正規雇用労働者の男女の賃金格差は以下となっております。全体平均74.8%、金融・保険業界61.5%よりもメガ損保3社の数値は下回っており、より男女の賃金格差が大きいことが分かるかと思います。

東京海上日動の男女の賃金格差:50.3%
三井住友海上
の男女の賃金格差:53.0%
損保ジャパン
の男女の賃金格差:46.6%

 日本損害保険協会も2025/6/10に「男女間賃金格差解消アクションプラン」を策定・発表しており、今後5年間各社の取り組みをフォローするそうです。東京海上日動が他社に先駆けて「コース区分」の廃止を打ち出しましたが、他社も追随する可能性は高いと推測されます。損保業界の男女の賃金格差は現在は大きく、特に損保ジャパンは46.6%はかなり低い数値ですが、今後是正されることを期待しております。(終わり)

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